たかさんの生活

薄暗闇の中、原付に乗っていた。何か用事を済ませて、北区の坂を、平野の交差点まで下るルートで家に帰ろうとしていた。ふと見ると、ガソリンメーターがＥの字を１ｃｍほど下回っていた。ガス欠は間違いない。ライトは点灯せず、アクセルを踏んでもカチッとか変な音がするだけだ。足元は見えない。前方も、はっきりとは見えない。夜明けは近いが、手元だけが見えない。対向車が来ないことを願いつつ、惰性に任せて坂を下った。

足元に草が当たる感触がした。ルートを外れ、林に入っていった。原付が止まり、ゆっくりと倒れた。すっかり林の中だった。草や枝を掻き分けると、目の前にクモの巣が張っていた。大きなクモがいた。それをやんわりとよけて、道路まで歩いて戻った。原付は放置。道路に上がる4段ほどの階段があった。その上で、ブルドッグが寝転がっていた。起こすとえらいことになる。俺はあんかけ肉のようなものを吐き出した。ブルドッグはそれが欲しかったようで、俺を襲わなかった。その後、俺は2匹の子犬を口から吐き出した。ビーグル犬だった。俺は徒歩で平野の交差点を目指した。

足元はうっすら明るく、朝が来ていた。そこで目が覚めた。
 二度寝なんかするもんじゃねぇな。

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